歯周病とは

歯周病とは

歯周病は歯を失う原因のトップ

歯はその周りを『歯ぐき』『セメント質』『歯根膜(しこんまく)』『歯槽骨(しそうこつ)』という組織に覆われて支持されています。歯周病はこの4つの組織に歯周病菌が感染し、それぞれの組織を壊していく病気です。

今や成人の8割がかかるといわれている歯周病は、歯を失う原因の4割を占めています。この割合はむし歯よりも多く、歯の喪失原因の第一位となっています。

『沈黙の病』といわれる歯周病

歯周病の恐ろしいところは、まだ回復の見込める初期の段階では症状があらわれにくい点にあります。このため「気が付いたときには、すでに手遅れだった」というケースも歯周病では多くみられます。また進行した歯周病は再発率も高くなるため、治療後も長期的な管理が必要です。

全身の健康に及ぼす影響

全身の健康に及ぼす影響

歯周病は近年、糖尿病や心臓疾患、脳梗塞、アルツハイマー病といった全身の病気との関連も指摘されています。歯周病の原因菌や炎症によって発生する物質が全身の血管へ運ばれると、これらの病気を誘発、または悪化させることが明らかとなっています。また妊娠中の女性の場合は、歯周病によって低体重児出産や早産のリスクが高まるので注意が必要です。

当院の歯周病治療

歯周病検査

現在の歯周病の状態を把握するための検査をおこないます。

  • レントゲン検査

    歯周病はその進行にともない、歯を支えている歯槽骨(あごの骨)が破壊されていきます。レントゲン検査では現在の歯槽骨の状態を確認し、歯周病の進行具合をみていきます。

  • 歯周ポケット検査

    歯周病によって周囲の組織の破壊が進むと、歯と歯ぐきの間に『歯周ポケット』と呼ばれるすき間が生じます。歯周ポケットは病状が進行につれて深くなることから、個々の歯にける歯周ポケットの深さを測定することで現在の進行状態を把握できます。

  • 出血・動揺度の検査

    歯周病が進行すると歯ぐきからの出血が増えるほか、歯槽骨の破壊にともなって歯がグラグラと揺れ出していきます。その出血や動揺の程度も、歯周病の進行具合を知る目安の1つとなります。

歯周基本治療

歯周病治療ではまず、次の歯周基本治療をおこなって病状の改善に努めていきます。

スケーリング:歯ぐきより上のクリーニング

スケーリング:歯ぐきより上のクリーニング

歯周病の原因となる歯周病菌は『プラーク』と呼ばれる細菌の塊の中で生息しています。またこのプラークが長く放置されると唾液の成分によって硬い『歯石』となり、歯周病菌の温床となってしまいます。

スケーリングではこの『プラーク』や『歯石』を専用の機器を用いて徹底的に取り除き、お口の中の歯周病菌を可能な限り減らしていきます。

SRP(スケーリング・ルートプレーニング):歯ぐきより下のクリーニング

SRP(スケーリング・ルートプレーニング):歯ぐきより下のクリーニング

スケーリングによって歯ぐきより上の汚れを落としたら、次はSRPで歯周ポケット内のプラークや歯石を取り除いていきます。SRPではさらに歯面を滑らかにし、ポケット内にプラークや歯石が付着しにくように仕上げていきます。

ブラッシング指導

ブラッシング指導

お口の中は毎日の飲食によって、常に汚れにさらされる環境となっています。そのためたとえスケーリングやSRPによってプラークや歯石を除去しても、日々の歯磨きが行き届かないままでは十分な治療の効果が得られません。

そこで歯周病治療ではご家庭でのケアも『治療の一環』とし、個々のお口の状態に適したブラッシング法や歯間ブラシ・デンタルフロスの使用法などを丁寧に指導していきます。

歯周外科治療

歯周基本治療であまり改善がみられないケースでは、次のステップである歯周外科治療をおこないます。

歯周ポケット掻把(そうは)術

歯ぐきに麻酔して通常のSRP同様に歯周ポケット内にあるプラークや歯石を取り除いた後、さらに歯周病菌に感染したセメント質や歯ぐきの一部を取り除いていきます。

フラップ手術

歯周ポケットが深くなると、通常のSRPだけではプラークや歯石をきれいに落としきることが難しくなります。フラップ手術ではこのような部位の歯ぐきを切開し、歯面(歯根面)を直接目で確認しながら取り残した汚れを取り除いていきます。施術の際は麻酔をおこないますので、術中に痛みを感じることはありません。

エムドゲイン(再生療法)

歯周病によって破壊された組織を再生する治療法です。歯ぐきを切開し、組織が破壊された部位に『エムドゲイン』と呼ばれる歯周組織再生剤を塗布し、組織の再生をうながしていきます(保険適用外)。